コンサルのメモ

30代ほやほやの某戦略コンサルManager。色々とメモしておきます。

【経営学】ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学by入山章栄(2015/11/24)

〇代表的な競争戦略

ボーダーの競争戦略(SCP戦略)

 ①ポジショニング戦略

  a.差別化戦略

   -他社と差別化した製品

  b.コストリーダーシップ戦略

   -他社より低い価格

 ②リソースベーストビュー(RBV)

   -競争には経営資源が重要

 ※SCPとRBVは二大戦略フレームワークで「ボーダーVSバーニー論争」としても有名

 ③リアルオプション理論

   -下ブレリスクを抑えつつ上ブレのチャンスを逃さなさい

 

〇代表的な競争の型

①IO(Industry Organization:産業組織)型

 -業界構造が安定した状態で、構造要因が企業の収益性に影響する業界

 e.g.新規企業が参画しにくい、大手2,3社がシェアを占める寡占、各社が差別化(飲料業界等)

 →有効な戦略:SCP戦略

  ∵SCP戦略は寡占化に進めば高い収益を上げられる前提のため

チェンバレン

 -IO型より参入障壁が低く、競争する業界(自動車メーカー、家電メーカー等)

 →有効な戦略:RBV

  ∵差別化する力=経営資源

シュンペーター

 -不確実性の高い業界

 e.g.技術進歩が速い、顧客ニーズが変化しやすい

 →有効な戦略:リアルオプション理論

 

〇書籍で紹介されている理論

・優れたビジネスモデルの4条件(アミット=リゾット:2001年)

 ①効率性

 ②補完性

 ③囲い込み

 ④新奇性

 

・上記4条件と企業価値の関係性

 ①効率性の高いビジネスモデルを持つ企業は企業価値が高い・低い両方ある

 ②補完性と囲い込みは企業価値と関係なし

 ③新奇性が高い場合は、企業価値が高い

 ④新奇性と効率性の両方が高いと企業価値は低下

 

・創造性とイノベーションのちがい(創造的な人はイノベーションを起こせない)

 -創造性:複数の既存の知を組み合わせ

 -イノベーション:アイディアを実現すること

 すなはち、創造性はイノベーションをゴールとするプロセスの通過点

 

・組織で重要なのでwho knows thatを知っていること(トランザクティブメモリー)

 -有効なコミュニケーション手段は対話(notメール、電話)

 ⇒Googleは遊び場を提供することで、対話を活性化している

 ⇔パーティションで区切るオフィス設計はパフォーマンスを低下させる

  

・ブレストは非効率

 -①他社への気兼ね②集団会話による思考停止により、アイデアは創出されない

 ⇒前もってアイデアを持ち寄る方がアイデアが発散する

 

・成功体験/失敗体験に関する考察

 ①成功体験は次の成功の確率を上げる

 ②失敗体験は成功体験よりも次の成功の確率を上げる

  ∵成功するとサーチ行動をとらない 

 ③組織の失敗体験が乏しいと成功体験は次の失敗の確率を上げる

 

・グローバル企業に関する考察

 ①多国籍企業365社のうち320社がホーム地域の売り上げが過半数

 ②残りの45社で、主要3地域(北米、ユーロ、アジア)の売り上げが2割以上なのは9社のみ

 9社:インテルノキア・キャノン・コカコーラ・MHLV・ソニー・フィリップス・IBM・フレクストロニクス(2001年)

 ※2003年時点の日本企業は上記にマツダが加わる

 ※2014年時点の日本企業はキャノンとマツダのみ 

 

・2種類のダイバーシティ

 ①タスク型のダイバーシティ

  -スキル、経験の多様性

 ②デモグラフィック型のダイバーシティ

  -性別、人種の多様性

 

ダイバーシティに対する考察

 ①タスク型は組織のパフォーマンスを向上する

 ②デモグラフィック型はパフォーマンスに影響なし、研究によってはむしろパフォーマンスを低下させる

 

・リーダーシップ

 ①コンティジェントリワード(アメムチタイプ)

  a.成果に対する報酬

  b.失敗前の介入

  c.失敗後の対処

 ②トランスフォーメーショナル(啓蒙タイプ(カリスマに近い))⇒高い組織成果

  a.ミッションの明確化による組織へのロイヤリティを高める

  b.部下のモチベーションを高める

  c.新しい視点を与える(刺激)

  d.個別に向き合い成長を重視する

 

・優れたビジョンの特性

 ①簡潔

 ②明快

 ③抽象的

 ④チャレンジング

 ⑤未来志向

 ⑥ぶれない

 

・伝え方

 ①イメージ型⇒大統領はイメージ型の講演

  -手を貸す、汗をかく

 ②コンセプト型

  -助ける、働く

 

・同期

 ①外発的な動機

  -給与、昇進、周囲からの評価

 ②内発的な動機⇒近年重要性が高まる

  -やりがい、楽しさ

 

・同族企業は業績は悪くない

 ①創業家が大口株主のため、経営者の利害=株主の利害

 ②企業と一族を一体としてみなし、長期的な繁栄を目指す

 ただし、資質の劣る経営者が選ばれる可能性もあり

 ⇒婿養子を選択するとこの課題が解決され業績は向上の傾向にある

 

・企業家の思考

 ①クエスチョニング(現状に疑問)

 ②オブザービング(観察)

 ③エクスペリメンティング(仮説をたてて実験)

 ④アイディアネットワーキング(他者の知恵を活用)

 

〇一言メモ

・”最先端”というほど全体において最先端の経営学について語られているわけではない。が、昔から言われてきた基本的な理論を改めて学び直すには良書。基本的な理論については、幅広く事例や論文に基づいて語られているため、何か引用したいときには使えるかも。あくまで経営学が語っている内容なので、どう引用するか、は悩ましいですが。